05/23
ナナは木陰から、海砂の住むアパートを見上げていた。どうやってそれを知ったのかはわからないが、竜崎から海砂のスケジュールをあらかじめ教えられていた。今日は一日休みらしい。ナナはまだ半信半疑だった。ミサが第二のキラだなんて、考えられない。しかし、竜崎はそう思っている。竜崎がLだと教わってから、Lのことを夜神たちに聞いてみた。彼らが言うには、Lはこれまで様々な未解決事件を解決してきた世界的な探偵らしい。そのLが疑っているのなら、ミサは本当に第二のキラなのかもしれない。
信じられないような、信じたくないような気持ちでぼんやりしていると、アパートからミサが出てきた。髪を上の方で二つ縛りにした、金色の特徴的な髪形、ゴスパンク風の服。前の世界のミサと何も変わらなかった。大きめのカバンを手に持ち、道を歩き出す彼女の後を追った。
駅の近くに来たころだろうか。前を歩いていたミサは急に立ち止まった。慌ててナナは電柱に身を隠す。
「誰かいるの? いたら出てきて!」
ミサがこちらに歩いてくる。どうしよう、と焦っているうちに、ミサが現れた。彼女はこちらに目を見開くと、怒ったような顔をした。
「あなたね、ミサについてきてたのは」
「……ご、ごめんなさい」
「何でミサをつけてた訳?」
「私、ミサミサのファンで……どこに行くのか気になって……」
「えっ、もしかしてストーカー? 男のストーカーはいたけど、あなたみたいな女の子は初めて……」
ミサは驚いたように言う。そして気を取り直したように口を開いた。
「とにかく! もう私のストーカーをするのはやめなさい! 迷惑だから、ねっ? あなただってつけられたら嫌でしょ?」
「……はい」
「わかればよろしい!」
にこっとミサは笑うと、じゃあねストーカーさんと言って、去って行った。ナナはその後ろ姿を呆然と見送るしかない。バレてしまった。監視の仕方は竜崎から教わったというのに。
とりあえず報告しなきゃと携帯を取出し、ワタリに連絡する。竜崎に代わってもらい、今のことを説明すると、竜崎も驚いたようだった。
『……ストーカーに慣れていて、気配に敏感だったのかもしれませんね。少し弥を見くびってました』
「監視ができないとなると、どうすれば……」
『佐藤さんは再び夜神月の様子を探ってください』
「わかりました、じゃあ大学に戻ります」
『お願いします』
東応大学に戻り、ナナは月たちと授業を受けた。もし月がキラで、第二のキラと接触したとしても、月の様子はきっと変わらないだろう。そう確信していたからこそ、ナナは注意深く月を見ていたが、やはり変化は見られなかった。
20180726