2004/04/05
桜が満開になる頃に、東応大学入学式が行われた。月の隣に座った男は、センター試験で変な座り方をして一人浮いていた男だった。共に、新入生代表で呼ばれていた。壇上から降りる際、この男は自分がLだと囁き月は動揺したが、必死にそれを押さえた。
「夜神君」
「おいライト、アイツが呼んでるぜ」
入学式が終わり、外に出た途端、自分を呼ぶ声が聞こえてきた。月は仕方なくそちらを向いた。
「夜神君。今日はどうも……」
「いえ、こちらこそ……」
流河は黒塗りのリムジンに乗り込みながら言った。
「じゃあ今度はキャンパスで」
「あ、そうだね……よろしく」
車は音を立てて去っていった。車を見送っていると、後ろから再び自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「月さん!」
振り向くと、センター試験で出会った少女がいた。名前は確か鈴木リナと言ったか。一人になりたい気分だったが、渋々挨拶した。
「……やあ、鈴木さん。受かったんだね」
「はい! 奇跡ですよ奇跡! また月さんに出会えて嬉しいです!」
「はは…」
「これからよろしくお願いしますね!」
「ああ、よろしく……敬語じゃなくていいよ、同い年なんだから」
リナはハッとしたように目を見開いた。
「……うん、わかった」
「じゃあ、僕はこれで」
「じゃあね、月さん!」
歩き出す月に、リナは手を振る。さあっと風が吹き、花吹雪が舞った。リュークが面白そうに笑う。
「ククッ、入学式でガールフレンドができるとはな」
「うるさい」
月は気が立っていた。Lに先手を取られたのだ。こんな屈辱は生まれて初めてだった。
Lが自ら名乗り出てくるなんてことは考えもしなかった。これはLにとってキラに対する有効な防御であるとともに攻撃でもある。これから流河は自分に接近し探ろうとしてくるだろう。
……しかし、何も悲観することはない。流河を信じ込ませ、全てを引き出したあとに殺せばいいのだから。
20160501